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OJIGI BOOKSおすすめ書籍29選【にくの日】【ブックカバー展】〜その3〜


毎月29日になんかやろうというもんやりした【にくの日企画】
今回は約300人のブックカバー展参加に合わせて、
架空書店OJIGI BOOKSのおすすめの29冊を3回に分けて紹介させて頂きます!
ついに最後!29冊意外に多かった!
独断と偏見に満ちた全く役に立たない感想文ですが、少しでも本に興味をもっていただけたら幸いです。

 


・。+・゜★・。・☆・。本の画像からamazonの商品ページに飛ぶことができます+・゜・。・゜★・+。・.

△▲解夏 / さだまさし△▲△▲△▲△▲△▲
 
知らないひとにとっては「なぜさだまさし?」と思われるかもしれませんがさだまさしの小説はとても良いのですよ。天は二物を与えますね〜
「精霊流し」で小説家デビュー後、全作品メディア化という快挙を続けていますが、中でも短編集の本書はさだまさしの小説をはじめて読むには最適です。
東京で教師をする主人公は徐々に失明する病、ベーチェット病にかかります。恋人には詳細を伝えずに別れを告げ故郷の長崎に帰り、 励ましてくれる人々と出会い葛藤しながらその時を迎えます。
失明するまでに起きる発作の痛み、切なさ、もどかしさが鮮明に描かれています。
徐々に視界を失い、乳白色の世界へ向かう主人公とそれを支える恋人の感動のお話。
主人公が出会い、励ましてくれる人々それぞれの言葉が胸に響きます。
その他収録作品も全部良いので書ききれない所ですが、気軽に手に取ってもらいたい作品です。


△▲乳と卵 / 川上未映子△▲△▲△▲△▲△▲
 
芥川賞受賞作として有名な筈が周りで読んでる人があまりいなかったので敢えておすすめします。
関西弁小説だから?読みにくいと感じる方もいるようです。(私は好きです。西加奈子も関西弁おおいですね)
豊胸手術のために大阪から上京した姉と、口がきけるのに筆談しかしない娘の緑子を迎えるわたしの3日間の描いた作品。
豊胸・初潮・化粧など、直接的に女性というものが書かれているようにも見えますが、
背景にはもっと深層の女性として生きること、女の子から女性になること、それらの恐怖が見え隠れしています。さて姉は無事に豊胸手術を受けることができるのでしょうか。
同時収録の「あななたちの恋愛は瀕死」は「わーーーーすごく苦手!」と思ってしまいました。
同じ作者でも作品によって好みが真逆になっちゃうことってありますよね。不思議〜(乙一とかもすごく好きなのとすごく苦手なのあります)


△▲レキシントンの幽霊 / 村上春樹△▲△▲△▲△▲△▲
 
国語の教科書に載っていた「7番目の男」が気になり手に取りました。
昔海で友人が波に飲まれるのを、助けることが出来ずに逃げ出した男の独白のお話。
村上春樹は「ノルウェイの森」や「風の歌を聴け」などを読みましたが「う〜ん、熱心になれない」と他の作品を読むのを諦めてしまいました。
しかし本書は短編集なのでスルスル読めます。しかし一人っきりになってしまった夢を見た時のような孤独感がずっと続く作品です。
私の好きなのは「トニー滝谷」。村上春樹らしい淡々とした調子ですが、静かで深い喪失感が響きます。
まるで小説を読んでいるかのような映画化版もおすすめです。
(むしろこちらから入るのも良いかも)イッセー尾形がすごくいい味出してます。



△▲日々の泡 / ボリス・ヴィアン△▲△▲△▲△▲△▲
 
主人公コランは働かなくても生きていけるほどの資産があり、芸術的な料理人のニコラと友人のシックと楽しく過ごしていました。ある日クロエと恋に落ち、愛し合い結婚しますが、間もなくクロエは肺に睡蓮が咲く病気にかかってしまいます。莫大な治療費のため資産は底を尽き、働きに出るコランと、同じくして瓦解していく友人達。
過剰な描写、夢のような世界観、こんな奇妙な小説はなかなかみかけません。まさにシュルレアリズム小説。
奏でる音楽によって味を変えてカクテルを作ってくれるカクテルピアノやある曲を聴いてしまったせいで丸く部屋が変形したり、まさに夢のような設定が盛りだくさんです。
死ぬほど美しくて死ぬほど切ない、まさに泡のような人生を描いた作品です。
訳が何種類かあり、タイトルが「うたかたの日々」と訳されているものもあります。
書き口調が結構違うらしいので、お好みのものをお選びください。(わたしは曾根元吉訳のしか読んでいないのですが、近年になるほどライトになるそうな)
なんとなく読んだことがなかったのですが最近映画化された「ムード・インディゴ」を観て思わず思わず手に取りました。
エターナルサンシャインのミシェル・ゴンドリー監督、 コラン役に「真夜中のピアニスト」「タイピスト!」のロマン・デュリス、クロエ役に「アメリ」のオドレイ・トトゥ
もう言うことないです。予告を観なおしていま号泣しながら書いています。
 
「人生は泡のよう。消えないうちに、愛して」


△▲クジラは潮を吹いていた / 佐藤卓△▲△▲△▲△▲△▲
 
グラフィック・デザイナー、佐藤卓が今まで関わってきた仕事をひとつひとつ丁寧に解説する本書、
デザイン指向の方は必読!ですしそうでない方も「知ってる!」という商品が多いので楽しめます。分かりやすくあっさりした文章でサクサク読めます。
読み終わってから「クジラは潮を吹いていた」というタイトルを見てなんだかじわっときてしまうのです。


△▲舟を編む / 三浦しをん△▲△▲△▲△▲△▲
 
書房に勤める営業部の変人が、辞書編纂部に引き抜かれ、新しい辞書「大渡海」を編纂することになるという本屋大賞受賞だの映画版はアカデミー賞だので言わずもがなな有名作品。
実はまだ読んでる途中です。
三浦しをんの小説も先の川上未映子のように「好きな作品」「嫌いな作品」とすっぱり分かれてしまうのですが、これはとても好きです。
ライトノベルっぽい文章でむむむ読みにくい、と感じる所が三浦しをんなのですが
辞書の編纂ということで随所に出てくる文字へのこだわりが、読書家である三浦しをん自身の言葉への愛情に感じられてじわじわきます。
映画化された段階で石井裕也監督に松田竜平というタッグに震えすぎて(双方好きすぎて)
「原作を先に読むべきか映画を先に観るべきか」悩みすぎて今に至りました。(至り過ぎ)
結局映画はまだ観てないので読み終わって観るのがたのしみです。


△▲夢十夜 / 夏目漱石△▲△▲△▲△▲△▲
 
「こんな夢を見た」の一文からはじまる(でも途中からこの一文なくなる・・・)、夏目漱石にしては珍しい幻想的な作品。
中でも幻想的で有名なのが第一夜
「死んだら、埋めて下さい。大きな真珠貝で穴を掘って。そうして天から落ちて来る星の破片を墓標に置いて下さい。」う〜ん美しいですね。
断片的に思い出した夢をポツポツと語られるような文章は、それぞれが短いながらも情景が残ります。
中でも一番好きなのが第七夜、「何でも大きな船に乗っている」からはじまる夢。大きな船に乗っているが、乗っている目的も、行き先も分からない。
そうかこれは人生なんだと気が付いた時のハッとして、ぎゅぅとなる気持ち、何度も何度も七夜ばかり繰り返し思い出してしまいます。


△▲苔のむすまで / 杉本博司△▲△▲△▲△▲△▲
 
杉本博司といえば日本を代表する芸術写真家。
本物のように見えるけど実は博物館の標本を撮ったという「ジオラマシリーズ」や、シャッターを解放して撮った輪郭の溶けた作風で有名です。
その杉本博司の評論集。評論集というと堅苦しいですが、そこまで身構えなくても大丈夫。
ただやはり古美術を愛し、建築にも造詣の深い作者の作品に対する真摯な姿勢は本さえ軽々しく扱うのをはばかるほどです。
エッジの効いた感性と穏やかな文体で綴られる文章は深みがあり芸術への知識も深まります。
とつとつと語られる文章に、真剣に向き合いながら読んでいるとなぜか直接的ではない何かが訴えかけてきてホロリときてしまう章も多々です。
続刊「現な像」も同じようなテイストで非常に良いです。
杉本博司を知らない人でも、美術史に興味がない人でも楽しむことができる一冊です。


△▲晩年 / 太宰治△▲△▲△▲△▲△▲
 
同じ作家の本は紹介しないように選定してきたのですがこればかりは掲載せざるを得ない!と思ったので(そしてパンドラの匣も絶対外せなかったのです)最後はこの一冊。
太宰治の処女作です。もう自殺しようと思って書かれた、なんだか切れ切れの短編小説達です。
私が、太宰と同じく五所川原出身で太宰フリークの祖父にもらった本です。祖父は本業ではありませんが物書きをしています。部屋の中はあちらこちらに本が積み上がっており、私と母が訪れるて3人が座るともういっぱいいっぱいです。私の部屋が汚い所と本が好きな所は祖父に似たのかもしれません。
「葉」の石塊の這うくだりなどは、死に絶えそうな朦朧とした感覚がよくよく描かれていてきゅうと胸が苦しくなるのですが、それが「どうにか、なる」で括られているのがまた良いのです。
祖父の書き込みなどもあって、私の宝物です。


・。+・゜★・。・☆・。+・゜・。・゜★・+。・.・。+・゜★・。・☆・。+・゜・。・゜★・+。・.




さておすすめ書籍29選いかがでしたでしょうか。
もっとおすすめしたい本や「こうじゃなくてこう書けば良かった〜」との既に早々の後悔などなどありますが
人のお家の本棚を覗き見るようなちょっとドキドキワクワクする感じを少しでも味わって頂けたら良いなと思ってやってみました。
これを機に読んでみた本などありましたらぜひ感想をお聞きしたいものです。
「読んだ!つまんねぇじゃねぇか!」でも良いのです。何がつまらなかったのか、そしてあなたはどんな本が好きなのか教えてください。
あ〜〜〜次引っ越すときはぜったい図書館の近くで暮らしたい。

本と芸術と音楽がある世でよかった。それだけで素晴らしい日々です。
では、じゃあ、おやすみ。


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OJIGI BOOKSおすすめ書籍29選【にくの日】【ブックカバー展】〜その2〜


毎月29日になんかやろうというもんやりした【にくの日企画】
今回は約300人のブックカバー展参加に合わせて、
架空書店OJIGI BOOKSのおすすめの29冊を3回に分けて紹介させて頂きます!
独断と偏見に満ちた全く役に立たない感想文ですが、少しでも本に興味をもっていただけたら幸いです。




・。+・゜★・。・☆・。本の画像からamazonの商品ページに飛ぶことができます+・゜・。・゜★・+。・.

△▲アルジャーノンに花束を / ダニエル・キイス△▲△▲△▲△▲△▲
 
パン屋で働くチャーリー・ゴードンは、幼児並みの知性しかなく他の従業員にからかわれていました。しかし大学の研究の一環で、頭の良くなる手術を受けることになります。
チャーリーの書く日記形式の本書は、最初は誤字脱字だらけですがそれもチャーリーが頭が良くなっていくことで文体がどんどん変わっていきます。
自身の頭をよくしたい・または自分の子供の頭を良くしたいと思うことは、多々あると思うのですが、賢いこと、知ることが幸せとは限りません。考えさせられる本です。
アルジャーノンは、チャーリーと同じ手術を受けたネズミの名です。
小学生の頃、親にねだって買ってもらって夢中で読みました。そして一生懸命読んだ小説の最後がこんなに悲しいなんて、と大泣きしました。


△▲重力ピエロ / 伊坂幸太郎△▲△▲△▲△▲△▲
 
伊坂幸太郎というと「ラッシュライフ」や「ゴールデンスランバー」など伏線に次ぐ伏線と、鮮やかに回収されていくフラグのめまぐるしい作品が人気ですが、本書はそのような雰囲気も持ちつつ家族愛にテーマが置かれた作品です。
母親がレイプされてできた弟の春。春と、兄の泉は連続して起こる放火現場のあとにグラフィティアートが残されていることに気がつき、その事件を追うというストーリー。
重たい内容に思えますが、伊坂流の「罪と罰」の表し方はライトでそして何より爽やか。お父さんにホロッと来ます。
本書が好きな人には「終末のフール」もおすすめです。


△▲14歳 / 千原ジュニア△▲△▲△▲△▲△▲
 
千原ジュニアの自伝です。ひきこもって学校に行かず、パジャマで過ごした14歳の頃。
ひきこもりというと逃げているようなイメージですが、逆に自己と向き合い、対峙し葛藤している様子にうぅ〜と歯を噛みしめ拳を握りしめてしまう気持ちです。
あと散々アホアホ言ってるセイジお兄ちゃんがかっさらうようにジュニアさんを外に向かわせる所が兄弟愛感じて最高です。(私はブラコンなので兄弟・兄妹モノに弱いです。)
まるでこんな風に自分も渦巻いていた時期にかえってしまい読後少しぐるぐるしていまうのですが、なぜかまた読んでしまう不思議な本。
砂嵐、私も観てたな〜


△▲恋文の技術 / 森見登美彦△▲△▲△▲△▲△▲
 
森見登美彦と言えば「四畳半神話大系」「夜は短し歩けよ乙女」と
うだつの上がらない青年と、天然独特な女の子を取り囲む不思議な人々のおもしろおかしなお話が多くこの作品も例に漏れず森見節満載のドタバタストーリーなのですが、
さいごになるほど恋文の技術!と思わせる展開が見事です。
その1で紹介した「パンドラの匣」に近いものがあります。
森見好きの皆様が本書をベスト1にあげることも多い本書、はじめての森見登美彦作品として入りやすく、また四畳半や乙女を読んで気になっている人には尚更おすすめです。


△▲ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを / カート・ヴォネガット・ジュニア△▲△▲△▲△▲△▲
 
SFの巨匠カート・ヴォガネット・ジュニアの作品。
「タイタンの妖女」「スローターハウス5」と時空を駆け巡る壮大な展開が多い作者ですが、
本書は簡単に言うと『めっちゃお金持ちが貧しい人に献身的にほいほいお金をあげちゃう話』です。
時空を越えたり宇宙に行ったりトラルファマドール星人が出てきたりしないので、SFを期待して読むと物足りないかもしれません。
大富豪のローズウォーターは「ローズウォーター財団」を立ち上げ、電話をかけてくる貧乏人に
「なにかお力になれることは?」と言いながら、ひょいひょいお金をあげてしまいます。
政治家である父はそんな息子を憂い、妻はそんな夫を尊く思いながらもついていけずに倒れてしまいます。
キチガイと思われながらも圧倒的な親切を配り続けるローズウォーターさん、
まったりとした展開に「う〜ん」と読み進めていましたが最後の最後、ほんの数ページラストの逆転の逆転は読んだ瞬間ブワっと泣いてしまいました。


△▲クワイエットルームにようこそ / 松尾スズキ△▲△▲△▲△▲△▲
 
恋人と大喧嘩の末、ODをしてしまった主人公は閉鎖病棟に運び込まれます。
うっかり迷い込んでしまったつもりの主人公と妙に歩み寄ってくる閉鎖病棟の患者達。
拒食や過食、虚言や妄想、めちゃくちゃな登場人物たちのそれぞれの描写は重たいのですが、それが少しの笑いとともに読み進められます。「異常」と「正常」ってなんでしょう。
松尾スズキ本人がメガホンを取った映画版も面白いです(が、私は本を先に読んでしまったので本の方がはちゃめちゃだけどサッパリしてて好きです。)
蒼井優ちゃんがめちゃくちゃ細いのと、情けないクドカンが良いです。


△▲銀河鉄道の夜 / 宮沢賢治△▲△▲△▲△▲△▲
 
宮沢賢治は全部好きでそれはもう図書館で全集を片っ端から読んでいたのですが、
(いつか全集部屋に置きたいな・・・)
ここでは代表作で美しい銀河鉄道の夜を。
キラキラとした表現と、ジョバンニとカンパネルラの友情が本当に美しいです。
国語で習う「オツベルと象」が初体験となって「宮沢賢治ってなんか怖いしかなしい」と思ってしまう人も多々いる気がするのですが、
そんなことはありません。確かに怖いかもしれませんが怖い話はもっと怖く残酷で、しかし儚げで美しいのです。
宮沢賢治の小説は青空文庫でも読むことができます。短いものも多いので、寝る前なんかにサクッと読まれてはいかがでしょう?

原作を読んだらラーメンズのこちらのコントもどうぞ。



△▲泡をたたき割る人魚は / 片瀬チヲル△▲△▲△▲△▲△▲
 
ワニが這いつくばったような形の島で暮らす女の子は、願いを叶えてくれるという老婆に「魚になりたい」と願います。
ふわふわとした文章はまるで水泡の中にいるようで童話的です。
比喩がまた繊細で曖昧で美しい。ピンとくる例えというよりも、「きっとこの世界ではそうなんだ」と思わされます。
独特の恋愛観を持つ女の子と、曖昧な暮らし、表紙のイラストのように淡く夢のようなお話の、
まさにたたき割られるような、胸がぎゅっとなるラストに衝撃です。
このラストのために何度も読みたい。ぎゅっ。


△▲私が夢見た「優」 / あんどう蒼△▲△▲△▲△▲△▲
 
あんどう蒼さんはブログ超・乙女改革でめちゃくちゃ面白い記事を書いておられる方です。
凸から凹へ性転換手術の記録、なぜ!?という所に陰毛がある時ってあるよね記事「ティム毛放浪記」や最近ではリカちゃん人形でマジで遊び尽くす「リカさんシリーズ」などなど少々過激で大爆笑なブログを続けているあんどう蒼さん。
その大爆笑記事にはさまれて連載されていた『私が夢見た「優」』は、自身の実話をもとにして書かれたノンフィクションです。
まさか下ネタを連発しているブログの著者とは思えない、死ぬほどきれいなお話です。
近年読んだ本で一番泣き尽くしたと思います。それがしかも、小さな世界のただただ純粋な愛のお話だというのに。
切なくて切なくて、苦しいほど愛おしい、あったかい気持ちになれます。
こちらの方面に興味のない方でも、純粋な愛情を探し求めている方はぜひ。
”男の気持ちはわからない。女の気持ちもわからない。それでも、愛は知っている。”


△▲馬鹿姉妹 / 緑川伸一△▲△▲△▲△▲△▲
 
これは入れるか入れまいか悩んだ所です。
ミドリカワ書房というミュージシャンとして活動する緑川伸一が、「本当は小説家になりたかった」との念願叶って刊行された本書。
夫と息子と穏やかに暮らす園子へ急に姉から『...希望の光が今日も眩しいので、私は急がなくてはなりません』というメールが届きます。
心配になった園子が訪れると姉の態度はいつも通りながら、どうも宗教じみたものにハマってしまったよう・・・
という展開です。
ミュージシャン・ミドリカワ書房の過激さを求めて本書を読んだ方は肩を落としてしまうかもしれません。
しかし淡々としてほのかに「え?」と思わせつつサックリ終わるあっさりさが好きです。
次回作に期待と応援の意を込めておすすめさせていただきます。

もちろんミュージシャンのほうも。





・。+・゜★・。・☆・。+・゜・。・゜★・+。・.・。+・゜★・。・☆・。+・゜・。・゜★・+。・.

その2はだいぶ趣味に偏ってしまったな〜と思ったのですが
そもそもこの企画自体趣味1000%でした。
本に興味ない人にとっては「あ、ふ〜ん・・・(読まない)」
本好きな人には「は?この本推してこれは推さんのかい!!(ザラッと見してそして読まない)」
という誰も幸せにならない企画なんじゃないかと思い始めたのですが
私はたのしいので良しとします。(でもめっちゃ書くの大変でツライ)

ブックカバー展の方もよろしくお願いします!!!!
実物を見れていないのと、エゴサしてみてもちっとも出てこないので「もしや・・・夢・・・?」と思い始めている所です!




OJIGI BOOKSおすすめ書籍29選【にくの日】【ブックカバー展】〜その1〜


毎月29日になんかやろうというもんやりした【にくの日企画】
今回は約300人のブックカバー展参加に合わせて、
架空書店OJIGI BOOKSのおすすめの29冊を3回に分けて紹介させて頂きます!
独断と偏見に満ちた全く役に立たない感想文ですが、少しでも本に興味をもっていただけたら幸いです。

 


・。+・゜★・。・☆・。本の画像からamazonの商品ページに飛ぶことができます+・゜・。・゜★・+。・.

△▲もうおうちへかえりましょう / 穂村弘△▲△▲△▲△▲△▲

OJIGI BOOKSのおすすめの一冊であげさせて頂いた穂村弘のエッセイをもう一冊。
穂村弘のエッセイは共感する所がとても多いです。(情けないような話が特に)
自意識過剰で少しずつ普通とズレてしまう、でもいつかは素敵な人間になりたい。
頭一本目から、「曇天の午後四時からの脱出」なんかは読んでいて、曇天が恐ろしい気持ちに共感し、一緒にこの女性に救われる気がしてあわわ、と泣きそうになりました。
余談ですが初期のエッセイから急に最近のものを読んだら結婚されていて、「結婚こわいって言ってたのに結婚してんじゃねえか!」と勝手に憤慨してしまいました。(すごく勝手)


△▲アンテナ / 田口ランディ△▲△▲△▲△▲△▲

「コンセント」「アンテナ」「モザイク」の三部作と言われる真ん中の作品。「コンセント」も相当衝撃的でしたが一番好きなのは「アンテナ」です。田口ランディの小説はシャーマンやそれに準ずる人が登場し、なんとなくオカルトチックな作品が多いです。
15年前に妹が失踪、父が亡くなり母は宗教に走り、妹の失踪の後に生まれた弟は発狂。
歪に育った大学院生の主人公は論文研究の一環としてSM嬢のナオミと出会い心の闇を受け入れていくという一見はちゃめちゃな官能オカルトストーリー。
加瀬亮初主演、熊切和嘉監督映画「アンテナ」を観てから原作に入り、田口ランディの小説にハマっていきました。小説が性欲の解放が重点なのに対し、映画は家族愛がテーマ(のように私が感じているだけなのですが)になっていてそちらも素晴らしいのでおすすめです。何より加瀬さんの自傷オナニーが観れます。(ほの暗い推しポイント)
加筆修正が多いので、修正前のハードカバー版より、少し説明過多ですが修正後の文庫版のほうがおすすめです。


△▲神菜、頭をよくしてあげよう / 大槻ケンヂ△▲△▲△▲△▲△▲

オーケン流のほほんエッセイ。下ネタ・ドラッグ・オカルト・ヌイグルミ。ゲラゲラ笑えたりホロリと来たり。いつか届くかもしれないブースかのぬいぐるみを思いながら人生で疲れた時にポロポロと読みます。



△▲ぼくの手はきみのために / 市川拓司△▲△▲△▲△▲△▲

実は市川拓司の小説が大好きなのです。純愛小説好きを公言するのはなんだか恥ずかしい。
この本に限らず市川拓司の小説はガラス細工のように繊細で透明で、生きにくい人が多く登場します。
それゆえに、互いの幸せのため別離を選んでしまったり切なくてしょうがない作品が多いです。短編集である本作は表題作「ぼくの手はきみのために」も良いのですが「透明な軌跡」がとても好きです。テクニカルイラストレーター生計を立てながら、息子の充生と静かに暮らす康生。傷ついた主人公が二人に出会い、そっとその生活に踏み込んで行きます。
表紙のペンギンのイラストがグッときます。
先の「僕らは夜にしか会わなかった」などは特に別離のお話が多いのですが、本作は一度離ればなれになったにしても最後またくっつくので安心します。
あおり文より「”この星でひとつきりの組み合わせ”に辿り着くまでの、もどかしいほどに優しい物語」


△▲セイジ / 辻内智貴△▲△▲△▲△▲△▲

完全に伊勢谷友介監督、西島秀俊・森山未來出演の映画「セイジ〜陸の魚〜」から原作に行きました。
自分探しの旅の途中で立ち寄った高速道路沿いの寂れたドライブイン、気のおけない常連客とそれを静かに見守るセイジの、穏やかな日々に突然事件は起こります。
賛否両論のセイジの行動は、一見無意味だしそれにしてはショッキングすぎるし、でも、「ああ、神様だ」と思わざるを得なかったのです。
淡々とした文章で読みやすく、原作の方が好みですが、映画も大変素晴らしいのでおすすめです。


△▲恋と退屈 / 峯田和伸△▲△▲△▲△▲△▲

銀杏BOYZのボーカル峯田和伸が綴ったブログから150記事を収録。
単行本が出た時にも「うっ」と気になってはいたのですが文庫本の表紙のあざとさにムカっとして買ってしまいました。笑
彼自身を知らない人にとっては生々しい内容かもしれませんが、それでも読み進めると笑いあり涙あり下ネタ満載の赤裸裸日記です。
記事毎に添えられる今日のおやすみソングや、文章内に出てくる他のバンドの話が個人的にとても好きです。


△▲努力する人間になってはいけない / 芦田宏直△▲△▲△▲△▲△▲

twitterで人気の芦田宏直先生のブログに大幅加筆修正を加えられた書籍。
非公式RTで「アホか」と尊大な態度で返す、痛快な芦田先生。
第9章ツイッター微分論は必読です。
哲学書・人生論書というととっつきにくいですが、半エッセイ・半指導書のような感じです。
すんなり納得できるところ、できない所がありますがそこ含め「非常に役に立つ」本です。
第6章「なぜ、人は殺してはいけないのか」における
「自分とは遠い所の責任も負える様になることが大人というもの。人にとって最も遠い責任とはこの世に生まれてきたことです。」(要約)
このことが一番あたまに残っています。まだまだ私は子供のようです。
人生の岐路ごとに読み直したい一冊です。
あと私には経験ありませんが会社の朝礼などでお話しなきゃいけない機会がある方はものすごくおすすめです。抜粋して読み解けば何回かお話に使えるでしょう。


△▲第2図書係補佐 / 又吉直樹△▲△▲△▲△▲△▲

フリーペーパーで掲載されていた書評エッセイをまとめた一冊。一遍が短いので持ち歩いてサッと読むのにおすすめです。
書評や解説というよりも、文章のほとんどがエッセイです。その生活の中で傍らにあった本をこっそり紹介しているような感じ。
紹介作品は多岐に渡り、しかもエッセイの最後にそろっと添えられるような作品紹介。しかしそのエッセイの部分が、きちんと作品の流れに収まる所がさすが文学芸人なのです。
後発「東京百景」は自伝的エッセイとしてそれはそれで良い本なのですが、
エッセイ部分も含め本書の方が私は好きです。


△▲きいろいゾウ / 西加奈子△▲△▲△▲△▲△▲

互いのことを「ツマ」と「ムコさん」と呼ぶ夫婦の田舎での生活。
西加奈子の小説は穏やかそうに見えてどんどん過激と絶望を織り交ぜてくるので、読んでいていつもハラハラします。(特に「しずく」とか)
本書も前半はほのぼのスローライフを満喫する夫婦と、その周りの面白く穏やかな人々のお話かと思いきや・・・気になる方は読んでください。
草花や動物の声が聞こえる多感なツマと、小説家で背中に鳥の入れ墨のあるムコさんの和解のお話。
宮崎あおいと向井理で映画化され、(予想に反して)そちらも良かったのですが
ただ、蛇口のシーンが痛くて思わず目を覆ってしまいました・・・。


△▲パンドラの匣 / 太宰治△▲△▲△▲△▲△▲

太宰治と言えば「暗い」「人間失格」というイメージでしょうが、
本書は太宰治渾身の青春小説でございます。しかもラブコメ!(どや)
戦後まもなく、喀血したために「健康道場」に入居した主人公が友人に手紙を綴る形式で物語は進みます。
天然っぽい主人公と看護婦さん、ともに入居している患者同士のやりとりはにぎやかでかつ思春期の少年少女を鮮やかに描いています。


・。+・゜★・。・☆・。+・゜・。・゜★・+。・.・。+・゜★・。・☆・。+・゜・。・゜★・+。・.

29選なんて余裕だぜ!とおもったのですがまとめてみると長いもんです。
しかもおすすめの文章を書くのが大変で大変で・・・
やっぱり文字を読むのと書くのは全く別々だな〜と思いました。
私の推薦文はトンチンカンかもしれませんが
なるべくいろんな本を選定してみたので、ラインナップとしてでも見て頂けると、
そして読んでみてもらえたら幸いです。






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