OJIGI BOOKSおすすめ書籍29選【にくの日】【ブックカバー展】〜その3〜
毎月29日になんかやろうというもんやりした【にくの日企画】
今回は約300人のブックカバー展参加に合わせて、
架空書店OJIGI BOOKSのおすすめの29冊を3回に分けて紹介させて頂きます!
ついに最後!29冊意外に多かった!
独断と偏見に満ちた全く役に立たない感想文ですが、少しでも本に興味をもっていただけたら幸いです。
・。+・゜★・。・☆・。本の画像からamazonの商品ページに飛ぶことができます+・゜・。・゜★・+。・.
△▲解夏 / さだまさし△▲△▲△▲△▲△▲
知らないひとにとっては「なぜさだまさし?」と思われるかもしれませんがさだまさしの小説はとても良いのですよ。天は二物を与えますね〜
「精霊流し」で小説家デビュー後、全作品メディア化という快挙を続けていますが、中でも短編集の本書はさだまさしの小説をはじめて読むには最適です。
東京で教師をする主人公は徐々に失明する病、ベーチェット病にかかります。恋人には詳細を伝えずに別れを告げ故郷の長崎に帰り、 励ましてくれる人々と出会い葛藤しながらその時を迎えます。
失明するまでに起きる発作の痛み、切なさ、もどかしさが鮮明に描かれています。
徐々に視界を失い、乳白色の世界へ向かう主人公とそれを支える恋人の感動のお話。
主人公が出会い、励ましてくれる人々それぞれの言葉が胸に響きます。
その他収録作品も全部良いので書ききれない所ですが、気軽に手に取ってもらいたい作品です。
△▲乳と卵 / 川上未映子△▲△▲△▲△▲△▲
芥川賞受賞作として有名な筈が周りで読んでる人があまりいなかったので敢えておすすめします。
関西弁小説だから?読みにくいと感じる方もいるようです。(私は好きです。西加奈子も関西弁おおいですね)
豊胸手術のために大阪から上京した姉と、口がきけるのに筆談しかしない娘の緑子を迎えるわたしの3日間の描いた作品。
豊胸・初潮・化粧など、直接的に女性というものが書かれているようにも見えますが、
背景にはもっと深層の女性として生きること、女の子から女性になること、それらの恐怖が見え隠れしています。さて姉は無事に豊胸手術を受けることができるのでしょうか。
同時収録の「あななたちの恋愛は瀕死」は「わーーーーすごく苦手!」と思ってしまいました。
同じ作者でも作品によって好みが真逆になっちゃうことってありますよね。不思議〜(乙一とかもすごく好きなのとすごく苦手なのあります)
△▲レキシントンの幽霊 / 村上春樹△▲△▲△▲△▲△▲
国語の教科書に載っていた「7番目の男」が気になり手に取りました。
昔海で友人が波に飲まれるのを、助けることが出来ずに逃げ出した男の独白のお話。
村上春樹は「ノルウェイの森」や「風の歌を聴け」などを読みましたが「う〜ん、熱心になれない」と他の作品を読むのを諦めてしまいました。
しかし本書は短編集なのでスルスル読めます。しかし一人っきりになってしまった夢を見た時のような孤独感がずっと続く作品です。
私の好きなのは「トニー滝谷」。村上春樹らしい淡々とした調子ですが、静かで深い喪失感が響きます。
まるで小説を読んでいるかのような映画化版もおすすめです。
(むしろこちらから入るのも良いかも)イッセー尾形がすごくいい味出してます。
△▲日々の泡 / ボリス・ヴィアン△▲△▲△▲△▲△▲
主人公コランは働かなくても生きていけるほどの資産があり、芸術的な料理人のニコラと友人のシックと楽しく過ごしていました。ある日クロエと恋に落ち、愛し合い結婚しますが、間もなくクロエは肺に睡蓮が咲く病気にかかってしまいます。莫大な治療費のため資産は底を尽き、働きに出るコランと、同じくして瓦解していく友人達。
過剰な描写、夢のような世界観、こんな奇妙な小説はなかなかみかけません。まさにシュルレアリズム小説。
奏でる音楽によって味を変えてカクテルを作ってくれるカクテルピアノやある曲を聴いてしまったせいで丸く部屋が変形したり、まさに夢のような設定が盛りだくさんです。
死ぬほど美しくて死ぬほど切ない、まさに泡のような人生を描いた作品です。
訳が何種類かあり、タイトルが「うたかたの日々」と訳されているものもあります。
書き口調が結構違うらしいので、お好みのものをお選びください。(わたしは曾根元吉訳のしか読んでいないのですが、近年になるほどライトになるそうな)
なんとなく読んだことがなかったのですが最近映画化された「ムード・インディゴ」を観て思わず思わず手に取りました。
エターナルサンシャインのミシェル・ゴンドリー監督、 コラン役に「真夜中のピアニスト」「タイピスト!」のロマン・デュリス、クロエ役に「アメリ」のオドレイ・トトゥ
もう言うことないです。予告を観なおしていま号泣しながら書いています。
「人生は泡のよう。消えないうちに、愛して」
△▲クジラは潮を吹いていた / 佐藤卓△▲△▲△▲△▲△▲
グラフィック・デザイナー、佐藤卓が今まで関わってきた仕事をひとつひとつ丁寧に解説する本書、
デザイン指向の方は必読!ですしそうでない方も「知ってる!」という商品が多いので楽しめます。分かりやすくあっさりした文章でサクサク読めます。
読み終わってから「クジラは潮を吹いていた」というタイトルを見てなんだかじわっときてしまうのです。
△▲舟を編む / 三浦しをん△▲△▲△▲△▲△▲
書房に勤める営業部の変人が、辞書編纂部に引き抜かれ、新しい辞書「大渡海」を編纂することになるという本屋大賞受賞だの映画版はアカデミー賞だので言わずもがなな有名作品。
実はまだ読んでる途中です。
三浦しをんの小説も先の川上未映子のように「好きな作品」「嫌いな作品」とすっぱり分かれてしまうのですが、これはとても好きです。
ライトノベルっぽい文章でむむむ読みにくい、と感じる所が三浦しをんなのですが
辞書の編纂ということで随所に出てくる文字へのこだわりが、読書家である三浦しをん自身の言葉への愛情に感じられてじわじわきます。
映画化された段階で石井裕也監督に松田竜平というタッグに震えすぎて(双方好きすぎて)
「原作を先に読むべきか映画を先に観るべきか」悩みすぎて今に至りました。(至り過ぎ)
結局映画はまだ観てないので読み終わって観るのがたのしみです。
△▲夢十夜 / 夏目漱石△▲△▲△▲△▲△▲
「こんな夢を見た」の一文からはじまる(でも途中からこの一文なくなる・・・)、夏目漱石にしては珍しい幻想的な作品。
中でも幻想的で有名なのが第一夜
「死んだら、埋めて下さい。大きな真珠貝で穴を掘って。そうして天から落ちて来る星の破片を墓標に置いて下さい。」う〜ん美しいですね。
断片的に思い出した夢をポツポツと語られるような文章は、それぞれが短いながらも情景が残ります。
中でも一番好きなのが第七夜、「何でも大きな船に乗っている」からはじまる夢。大きな船に乗っているが、乗っている目的も、行き先も分からない。
そうかこれは人生なんだと気が付いた時のハッとして、ぎゅぅとなる気持ち、何度も何度も七夜ばかり繰り返し思い出してしまいます。
△▲苔のむすまで / 杉本博司△▲△▲△▲△▲△▲
杉本博司といえば日本を代表する芸術写真家。
本物のように見えるけど実は博物館の標本を撮ったという「ジオラマシリーズ」や、シャッターを解放して撮った輪郭の溶けた作風で有名です。
その杉本博司の評論集。評論集というと堅苦しいですが、そこまで身構えなくても大丈夫。
ただやはり古美術を愛し、建築にも造詣の深い作者の作品に対する真摯な姿勢は本さえ軽々しく扱うのをはばかるほどです。
エッジの効いた感性と穏やかな文体で綴られる文章は深みがあり芸術への知識も深まります。
とつとつと語られる文章に、真剣に向き合いながら読んでいるとなぜか直接的ではない何かが訴えかけてきてホロリときてしまう章も多々です。
続刊「現な像」も同じようなテイストで非常に良いです。
杉本博司を知らない人でも、美術史に興味がない人でも楽しむことができる一冊です。
△▲晩年 / 太宰治△▲△▲△▲△▲△▲
同じ作家の本は紹介しないように選定してきたのですがこればかりは掲載せざるを得ない!と思ったので(そしてパンドラの匣も絶対外せなかったのです)最後はこの一冊。
太宰治の処女作です。もう自殺しようと思って書かれた、なんだか切れ切れの短編小説達です。
太宰治の処女作です。もう自殺しようと思って書かれた、なんだか切れ切れの短編小説達です。
私が、太宰と同じく五所川原出身で太宰フリークの祖父にもらった本です。祖父は本業ではありませんが物書きをしています。部屋の中はあちらこちらに本が積み上がっており、私と母が訪れるて3人が座るともういっぱいいっぱいです。私の部屋が汚い所と本が好きな所は祖父に似たのかもしれません。
「葉」の石塊の這うくだりなどは、死に絶えそうな朦朧とした感覚がよくよく描かれていてきゅうと胸が苦しくなるのですが、それが「どうにか、なる」で括られているのがまた良いのです。
祖父の書き込みなどもあって、私の宝物です。
・。+・゜★・。・☆・。+・゜・。・゜★・+。・.・。+・゜★・。・☆・。+・゜・。・゜★・+。・.
さておすすめ書籍29選いかがでしたでしょうか。
もっとおすすめしたい本や「こうじゃなくてこう書けば良かった〜」との既に早々の後悔などなどありますが
人のお家の本棚を覗き見るようなちょっとドキドキワクワクする感じを少しでも味わって頂けたら良いなと思ってやってみました。
これを機に読んでみた本などありましたらぜひ感想をお聞きしたいものです。
「読んだ!つまんねぇじゃねぇか!」でも良いのです。何がつまらなかったのか、そしてあなたはどんな本が好きなのか教えてください。
あ〜〜〜次引っ越すときはぜったい図書館の近くで暮らしたい。
本と芸術と音楽がある世でよかった。それだけで素晴らしい日々です。
では、じゃあ、おやすみ。
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もっとおすすめしたい本や「こうじゃなくてこう書けば良かった〜」との既に早々の後悔などなどありますが
人のお家の本棚を覗き見るようなちょっとドキドキワクワクする感じを少しでも味わって頂けたら良いなと思ってやってみました。
これを機に読んでみた本などありましたらぜひ感想をお聞きしたいものです。
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